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産後手記

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妊娠する3年位前から、自然な暮らし、地球にできるだけ負担をかけない暮らし方に出会い、それを目指してきた。目指す暮らしを実践していく場、定住したい場所を探し、運良くであった下蒲刈と夫。子育てにもいい環境に思えた。


結婚してすぐに子を授かった。そして間もなく、自然派助産師さんの姫宮さんと、広島市内で活動している、母乳育児を応援しているグループ、「おっぱい応援団」に出会った。この出会いのおかげで、妊娠中から産後、そして現在に至るまで、楽に過ごすことができている。
子育てをしていく中、情報はいくらでも溢れかえっている。その中で、どれを選択していくか、それは親の感覚が頼りだが、それだけではこころ許ない。自分の信じる情報、自分の選択しようとしている行為が、周囲の多数意見、一般的考えと合わないこともある。そんな中、自分と似た感覚の人々と出会い、経験を基にしたアドバイスをいただくことで、ずいぶんと勇気づけられ、そして救われてきた。


2006年4月18日、かわいい女の子が我が家にやってきた。


生まれたての赤ちゃんって、猿みたいだと思っていたけれど、ちゃんと人間の顔をしている。髪もふさふさだ。一通り計測を終えた赤ちゃんをお腹の上に乗せてもらう。ふにゃふにゃで、手を触れることさえ怖い。
産後2日目から母子同室で過ごした。出産後10日位は、日中熟睡、夜ぐずる、の毎日で、ちょっとしんどかった。入院中は4人部屋で、泣かせっぱなしにすることもできず、頑張って数時間乳を吸わせ続けたりもしたが、耐えきれず新生児室に預けることもあった。


退院1週間後に姫宮さんに来ていただき、いろいろアドバイスをいただいた。おしゃぶりの使い方と、毛布におひな様のように包む「おひなまき」。これを教わったその日から、夜ぐっすり寝てくれるようになる。沐浴も産院でも教えてもらったが、もう一度我が子で教えてもらう。ちょっとしたコツで、娘もすっかり安心して、気持ちよさそう。夫と、産後に埼玉からかけつけてくれた実母と、「姫宮さん様々だねぇ…」と感激&感謝でいっぱい。


その後の子育ては本当に楽だった。夜泣きもしたことがなく、日中もあまり泣き叫ぶことがない。病気らしい病気もしたことがなく、アレルギーもない。最近ようやく人見知りが始まったようだが、今までは私が寂しく思う位、母の姿が見えなくても平気。夫もかなりの子供好きで、家に居るときはずっと一緒に遊んだり、ご飯を食べさせたり、私のこだわりで布おむつにしているのに、おむつ替えも嫌がらずにしてくれる。おかげで娘も夫が大好き。家に居るときは夫から離れない。


ただ、体重の増えがとっても緩やか(今1歳5ヶ月で8Kg弱)だった。保健師さんや、舅、姑が心配してくれて、ミルクを足すようにアドバイスをくれるのだが、畑にたとえるなら、ミルクがどうしても化学肥料のように思えてしまい、できるだけ与えたくない。体重は少しずつしか増えなくても、お腹はいっぱいで満足しているように見えるし、元気に、健康に見えるし。好意でアドバイスしてくださる人達にも、反発心がうずいてしまう。


そんな時に知り合いの有機農家さんからいただいた一言がすごく胸に響いた。「舅とは考え方も全然違ってよく喧嘩をしたけれど、でも、私達の子供になにかあった時に、無条件に手を差し伸べてくれる人がいるってことが、すごくありがたい、と思えた。」そうだ、こんなにこの子を愛してくれている人がいるんだ。感謝しなくちゃ、と反省した。結果的に自分の思いを通すにしても、常に感謝の心を忘れないでいたい、というのが理想だけれど、ついつい反発してしまう自分はやっぱりまだいる…。


ここは島。若い人は少なく、道を歩けば会う人は、おじいさん、おばあさんばかり。60歳位だと、若い人に思えるくらい。夫は島育ち。こちらは知らなくても、相手はこちらを知っていることがよくある。悪いことはできないという緊張感が暮らし始めた頃はあったが、今はこの状況にも大分慣れ、見守ってくれる人がたくさんいることをありがたいと思っている。地域ぐるみ、島ぐるみの行事もいろいろある。とんど、盆踊り、祭り、運動会、朝鮮通信使の再現行列、文化祭…。子供から大人まで総動員。子供が生まれてこれらの行事にも少しずつ関われるようになり、だんだん島暮らしも楽しくなってきた。ありがたいことに、子育てサークルがあり、育児相談があり、育児支援センターがあり、週に1度位、同じような年頃の子供をもったお母さん方と集まる機会がある。ただ、人数はとっても少ないが…。同級生は5人。この5人で保育所から中学卒業まで10年以上過ごすことになる。親同士の付き合いはそれ以上。ベビーブーム生まれで、1学年10クラスで過ごした私には想像もつかないが、どんなふうに育つのか楽しみにしている。


歳をとってからの子どもはかわいいと言うけれど、これは本当。私にとっても夫にとっても歳をとってからの子。どんどんかわいくなってきて、愛しくてたまらない。ありがたいことに、今のところ、育児ストレスは感じたことがない(家事やその他のストレスはあるけれど…)。


つい最近、おっぱいを断った。泣き叫ぶものと覚悟していたが、たった一晩、10~20分位、寂しそうに泣きぐずり、あとはあまり請求することもなく、スムーズに止められた。楽にはなったけれど、ちょっぴり寂しい。


そして今、2人目の赤ちゃんがお腹にやってきた。娘も察知したのか、以前より甘えん坊になったような気がする。今まで娘一人に目一杯かけてきた愛情を、どうやって2人にかけようか…。まだまだ赤ちゃんの娘が、どんな姉に育つのか…。家庭にこもりっぱなしの自分に焦ることも時々あるが、今しかできない子育てを目一杯楽しみたいと思う。

呉市だけではなく全国的に進む産科集約について、助産士という立場からお話を寄せていただきました。


赤ちゃんという存在は お腹に居る時から沢山のプレゼントをくれますね。


人との出会い、また、普段通り過ぎてしまう、景色、言葉、出会いに心傾けさせてくれる不思議な力を持っています。多くのお母さんが子どもの為ならと、我慢が出来たり、頑張れたりします。そう赤ちゃんはお母さん、そして家族に幸せと沢山のメッセージを運んでくれます。そのメッセージを受け止められたら、一緒に居ることが楽しく幸せに思えるんだと感じます。


一方、楽しいばかりではないですね。今まで生きてきた親の価値観、人格、生活環境までも奪い、粉々にして、どう生きたらいいのか、何を食べたらいいのか、感性を目覚めさせ鍛えてくれます。幸せと困難両方のプレゼントを受け止めて、新たな自分になっていく、それを楽しみに歩んでみると楽しいと思います。


どんな困難があっても、有難い、と感謝の気持ちで歩む、それが幸せに気づく こつ だと思います。


二人目の子育て、今までとはまた違った楽しみ、大変さがありますが、幸せに気づいているあなたなら、また楽しんで歩まれると思います。赤ちゃんに会えること、そしてお母さんと家族が成長される姿を見れること、応援できることを楽しみにしています。

産科集約の件


この4月から呉でも総合病院三件が二件に集約され、産科病棟が減少しました。産後訪問をしていると大きな変化、影響を感じます。


けれどぼやいていても簡単に元に戻せる事でもないので、これから個々がどう考えどう進めば良いのか一緒に考えてみたいと思います。


医療が進歩し多くの方が病院に当たり前のように受診出来るようになったのも、ここ50年位の変化です。分娩も家庭と病、医院の出産が半々になったのは昭和35年 今から47、8年位前です。ですから 自分の身体、健康に関しても病院任せにして責任転嫁をし、何に関しても、自力から他力が当たり前になって まだ間もないことなんです。


けれど 今子供を産み育てている世代、それを支援し教え導いてくれる世代は、この当たり前にどっぷり浸かっている世代、だから大変なんだと思います。


では私たちはどう考え進めば良いのでしょうか。


50年前に当たり前だった自力の感覚、感性を取り戻す必要があると思います。他力でない自力で、自分の身体も生活も整えて行く智恵をもたなくては安心して自信を持った生活も お産も出来ないと思います。


そこでよく言われることですが、情報が多すぎて何を信じて良いかわからない、何を選択したらよいかわからない、と。
その選択が出来る力も自分の中にある、感性です。みんな持っているけれど蓋をしてしまっている、感覚感性を取り戻しましょう。


また 自分で考え選択して、それに向かって努力したり工夫した事 その結果に対しては後悔しないこと、ちゃんと受け止める覚悟と責任を持つ事、受け止め方、考え方を常にプラスに持っていくことが大切だと思います。


お産について 私は産む場所もスタイルもそこまで拘らないでほしいと思っています。大切なのは、安心安全、何より いのち を大切にして行く事ですから。その安心、安全のための選択と勉強と出来る事、考え方をきちんと持って自分に責任を持って歩んでほしいと思います。


最近は自宅でも、病、医院でも自然出産が当たり前には出来なくなって来ているのを感じます。それは私たちの生活が自然でなくなったからだと思います。もし自然出産をめざすなら、自然とは何かを、しっかり学び 自然な生活、食を体感していく努力を益々これからはしていかなくてはならない そういう時期が来たと思います。


病院側も助産師が中心となり 赤ちゃん、お母さん、家族にとってプラスになる事を日々考えて実践しています。


最後に、これからも、減少していく中でも、産む側、お産を支援する側、お互いの思い、意見を交換し合え 納得のいくお産 育児が出来る環境が整っていくことを願っています。


助産士  姫宮万寿子

この記事は、パステルHP過去記事より引用しています。

 

 

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